圏外

怖い話・衝撃体験寄稿,短編


以前の仕事は激務のため、終電近くになって帰宅することが少なくありませんでした。

最寄り駅から自宅までは明るい大通りを進むと15分ほどでしたが、公園の中を通り、住宅街を抜ける少し寂しい道を利用すれば10分もかからないため、後者の道を使うことがほとんどでした。

女ひとりのため、防犯対策としてなるべく携帯で家族や彼氏と通話をしながら歩くようにしていました。

ある日、母と電話をしながら帰路を急いでいると、急に母との電話が切れてしまいました。

かけ直そうとするも電波は圏外となっていました。

電波障害だろうかと思いながら急いで帰宅、自宅のWiFiを使って母に掛け直し圏外で切れてしまったと説明しました。

すると母が、「途中で切れていないし、さっき家に着いたって言ったよね」と一言。

母は途中から一体誰と話していたのでしょうか。

あまりの気味の悪さにその日はあまり眠ることができませんでした。